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悪臭物質測定の概要 |
「悪臭」とは、いやなにおい、不快なにおいの総称です。悪臭の発生源は多種多様であり、原因となる悪臭物質の種類も多く、また、特定が困難であったり、個人差が大きい時があります。したがって、悪臭の特定は機器による悪臭物質濃度測定と、人間の嗅覚を利用した官能試験があります。
悪臭防止法は、工場その他の事業場の事業活動によって発生する悪臭を規制し、生活環境を保全して、国民の健康を保護することを目的としています。「特定悪臭物質の測定」は計量法に基づく計量証明事業者、「臭気指数の測定」の場合は、臭気測定業務従事者(=臭気判定士)、又は臭気測定業務従事者に臭気指数の測定業務を行わせる法人となっております。。 |
分析方法 |
@嗅覚測定法 (三点比較式臭袋法)
悪臭防止法では、当初特定悪臭物質の濃度を規制する方式が採用されていました。しかし、物質の濃度で臭いの発生を規制することには限界があったため、1995年の法改正で、人間の嗅覚によって臭気の強さを数値化する臭気指数規制方式が導入されました。具体的な方法は、濃度の異なる臭いを積めた3つの袋を用意し、2つには無臭、1つには臭気のある空気を入れ、6人以上のパネル(嗅覚試験者)が臭気の有無を判定、パネルが臭気を嗅ぎ取れなくなるまで希釈を続け、どの濃度で臭いを嗅ぎ取れなくなったかという結果から、臭いの強さ(臭気指数)を算定します。 |
A特定悪臭物質分析
アンモニアやトルエンなどの22種類の特定悪臭物質が、大気中にそれぞれ何ppm含まれるかという濃度での規制が特定悪臭物質濃度規制です。物質ごとにその濃度を機器分析法により測定します。 |
物質名 |
におい |
*規制基準 (ppm) |
アンモニア |
し尿のような臭い |
1 〜 5 |
メチルメルカプタン |
腐った玉ねぎ臭 |
0.002 〜 0.01 |
硫化水素 |
腐った卵臭 |
0.02 〜 0.2 |
硫化メチル |
腐ったキャベツ臭 |
0.01 〜 0.2 |
二硫化メチル |
腐ったキャベツ臭 |
0.009 〜 0.1 |
トリメチルアミン |
腐った魚集 |
0.005 〜 0.07 |
アセトアルデヒド |
刺激的な青ぐさ臭 |
0.05 〜 0.5 |
プロピオンアルデヒド |
刺激的な甘酸っぱい焦げ臭 |
0.05 〜 0.5 |
ノルマルブチルアルデヒド |
刺激的な甘酸っぱい焦げ臭 |
0.009 〜 0.08 |
イソブチルアルデヒド |
刺激的な甘酸っぱい焦げ臭 |
0.02 〜 0.2 |
ノルマルバレルアルデヒド |
むせるような甘酸っぱい焦げ臭 |
0.009 〜 0.05 |
イソバレルアルデヒド |
むせるような甘酸っぱい焦げ臭 |
0.003 〜 0.01 |
イソブタノール |
刺激的な発酵臭 |
0.9 〜 20 |
酢酸エチル |
刺激的なシンナー臭 |
3 〜 20 |
メチルイソブチルケトン |
刺激的なシンナー臭 |
1 〜 6 |
トルエン |
ガソリン臭 |
10 〜 60 |
スチレン |
都市ガス臭 |
0.4 〜 2 |
キシレン |
ガソリン臭 |
1 〜 5 |
プロピオン酸 |
刺激的なすっぱい臭 |
0.03 〜 0.2 |
ノルマル酪酸 |
汗臭い臭 |
0.001 〜 0.006 |
ノルマル吉草酸 |
むれた靴下臭 |
0.0009 〜 0.004 |
イソ吉草酸 |
むれた靴下臭 |
0.001 〜 0.01 |
*悪臭防止法では規制基準の範囲を指定しており、都道府県知事はその範囲を利用して、指定区域及び指定基準を決定する。 |
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ガスクロマトグラフ(ECD・FID・FPD・TCD) |
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